連載・特集

2023.9.2 みすず野

 暮れかかるころ、塩尻市の東山付近から西を眺めると、毎日異なる自然の雄大な姿が見られる。あかね色の夕焼けや、アルプスの上に平行に流れる雲、雲に覆われた隙間からまっすぐ差す日の光。いつまでも目に焼き付けておきたい景色だ◆特に見事な夕焼けが見られたり、雄大な雲が現れていたりすると、「投稿フォトプラザ」にどなたかが写真に撮って送られるだろうと思うようになった。夕景だけでなく大きな虹や夕立、日の出が見事な風景などを見るたびに、こんな構図で、きっと縦の画面で、手元には何かの花を配置して、などとまだ見ぬ作品を想像する◆多くの方が投稿されるなかで、作品のほぼ全てを自宅の庭で撮影されている男性もいる。山や空雲の様子や、庭にやってくる鳥、虫、そこに咲く花など、同じ場所で、さまざまな被写体を見つける観察眼と、豊かな感性に感服する◆病を得て寝たきりとなった晩年の正岡子規は、東京・根岸の子規庵から見える景色を見て句を詠んだ。男性は「フォトプラザ」の子規のようだ。投稿写真には、それぞれの方が、心を動かされた被写体が写る。きょうはどんな作品が届くだろう。