政治・経済

塩尻商議所にインボイス制度の相談増加 小規模零細業者が判断迷い

インボイス制度のセミナーを周知する塩尻商議所職員

 事業者間取引における消費税の新ルール「インボイス制度」(適格請求書等保存方式)の10月開始を前に、塩尻商工会議所では、塩尻市内の事業者からの問い合わせが増えている。課税売上高1000万円以下で免税となっている事業者が、制度に登録して課税事業者に移行するか、登録せずに免税のままでいるかの判断に迷って相談する事例が多い。

 事業者間取引で、商品の売り手(例・卸売業など)が買い手(同・小売業など)に、税率や税額を正しく伝える書類がインボイス(適格請求書)だ。制度に登録すると発行できる。インボイスを発行しないと、買い手は仕入れ時に払った消費税を差し引いて国に納税する「仕入れ税額控除」を原則として受けられない。
 免税事業者の場合、インボイスを発行するには、制度に登録して課税事業者になる必要がある。発行すれば、商品納入先の事業者は仕入れ税額控除ができる。一方、課税事業者になると、新たに消費税の納税義務が生じ、事務負担も増える。
 塩尻商議所には6月以降、小規模零細事業者を中心に、「うちはどうすればいいのか」などと相談する問い合わせが多い時で1日2~3件ある。
 一口に免税事業者といっても、取引が法人中心か、個人消費者が多いかなど、業態によって判断が異なる。木工家具製造業を営む50代男性は「インボイスを発行できないと、ホテル関係の新規案件で発注対象から省かれるかもしれない」と制度登録を決めた。一方、個人客のみの美容院などは登録しないケースもある。課税事業者に移行した場合に受けられる、3年間の税負担軽減措置も判断のポイントとなっている。
 商議所の太田美絵さんは「取引先と話すなどして、自分の立場を確認することが大切」と説明。相談対応やセミナーなどを通じて「判断の材料を提供していきたい」と話す。
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 塩尻商議所は9月22日午後3時~4時半、市民交流センター・えんぱーくで「インボイス制度最終確認セミナー」を開く。無料。問い合わせは商議所(電話0263・52・0258)へ。