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噴火の教訓忘れずに 御嶽山頂で避難訓練

山頂周辺のコンクリート製シェルターに避難する登山者

 木曽町は26日、長野・岐阜県境の御嶽山の山頂・剣ケ峰(3067メートル)で登山者参加型の避難訓練をした。平成26(2014)年9月の噴火災害と同規模の噴火が起きた想定で、周辺に設置されたシェルターに逃げ込むなど参加者は命を守る行動を確認した。多くの死傷者を出し噴火災害以降通行規制されていた、剣ケ峰と王滝頂上(王滝村)を結ぶ「八丁ダルミ」が9年ぶりに規制解除されるなどお山が元の姿に戻る中、避難対策の一層の充実を図っていく。

 午後0時20分ころに訓練が始まった。剣ケ峰周辺では、防災無線から「ウー」とサイレンが鳴り響くと、登山者は町が設置したコンクリート製シェルター3基や鋼鉄製シェルター2基に逃げ込んだ。「避難促進施設」の御嶽神社頂上奥社祈とう所も、多くの登山者を受け入れた。防災無線が一部流れないトラブルもあった。
 参加した東京都港区の公務員・池上大輔さん(54)は「万が一に備えた動きをしっかり意識したいと思った。登山道の規制解除などは進むが、噴火災害の教訓はいつまでも忘れないようにしたい」と話していた。
 訓練時の山頂部はそれほど混雑していなかった。町三岳支所の野田智彦さんは、混雑時も正しく避難ができるか、シェルターなどが近くにない人の安全確保はどうするかなどを課題に挙げ「今回の訓練を検証し、さらなる安全対策につなげたい」と力を込めた。
 訓練は今年で2回目。名古屋大学御嶽山火山研究施設や御嶽山火山マイスターネットワーク、県なども加わった。防災科学技術研究所(茨城県)は、避難行動を分析するため、登山者にビーコン(発信機)を配布した。午後3時現在で約440人の登山者が受け取った。

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