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お六櫛職人の技に旅人が感心 木祖村薮原で実演、体験も

街道沿いの古民家で今月末まで行っているお六櫛の実演販売。大型連休の5日、足を止めた旅人が職人とのおしゃべりに花を咲かせていた

 伝統工芸品の「お六櫛」で知られる木祖村で、櫛作りの職人らによる製作実演が開かれている。会場は薮原宿の街道筋にある古民家。国内外から訪れた旅人たちが足を止め、器用に手を動かす職人の技に熱い視線を送っている。

 ミネバリという堅い木材で作られるお六櫛の手びき櫛は、職人が櫛の歯を一つ一つ丁寧にのこぎりでひいており、見た目の美しさや使い心地が売りだ。大型連休に合わせた今回の実演販売は3日に始まり、手作り体験を楽しむ観光客の姿もある。連休終盤の5日、旅人の質問に答えながら器用に手を動かす職人の手元に、岐阜市の男性がスマートフォンのカメラを向けていた。「櫛を作る場面を見るのは初めて。職人さんの顔が見える街道歩きは魅力的。これ以上ないおもてなし」と話していた。
 職人が交代で実演している。伝統工芸継承を担当する村地域おこし協力隊の井上慧さん(38)は「『中山道を歩けば櫛作りの様子を見ることができる』と周知されることも重要」と話し、郷土が誇る逸品を広く観光客に宣伝しながら、地域の活性化への波及効果も期待している。
 実演は11、18、25日の午前8時半~正午に行う。手作り体験(磨き体験)の所要時間は40分ほどで料金は3500円。予約・問い合わせは村お六櫛組合の柳川浩司副組合長(電話080・1046・7291)へ。