田の原湿原再生へ着工 王滝村 御嶽山7合目 雨水浸透させ乾燥化防ぐ

御嶽山の王滝口登山道7合目付近(標高約2200㍍)に広がる湿原で、乾燥化により年々縮小が続いている王滝村の「田の原湿原」の再生工事が今月、始まった。U字溝を伝った雨水が地下に浸透せず地面を流れ下ってしまうことが乾燥化の原因と考えられるため、環境に優しい方法で水が地面に染み込む対策を長期的に講じる。
対策は駐車場から遙拝所までの登山道約600㍍間で計画されている。御嶽山の自然環境の保全や調査に携わる一般社団法人・ルーツオンタケ(木曽町福島)が村から委託を受けて施工している。本年度は遙拝所周辺で実施し、工期は前・後半に分かれ、前半は22日に着工した。環境保全に関心のある県内外の人たちも作業に加わる。
遥拝所の屋根に降った雨水が集まって落ちる場所で工事が進む。深さ30~40㌢ほど掘った地面に、雨水が浸透しやすくなるよう穴を開けてから石や丸太、わらを敷き、ゆっくりと時間をかけて水が地面に染み込む仕組みをつくる。
工事は、いったん休止して10月上旬に再開する。登山道に石畳を敷いて、同様に雨水が地中に浸透しやすくする予定だ。
ルーツオンタケなどによると、田の原湿原は現在、大部分が乾いてササに覆われており、わずか3畳分ほどの水のたまり場に高山植物などの貴重な植生が残るだけだ。畠山智明理事は「工事で少しでも御嶽山と湿原の環境が良くなってほしい」と話している。
26日には田の原湿原の現状と施工方法を学ぶ、環境土木の専門家ら2人の対談と現地ツアーがある。対談は午前10時から村公民館で行われ、ツアーは午後1時50分に県立御嶽山ビジターセンター「やまテラス王滝」前に集合。問い合わせはルーツオンタケ(電話090・6307・6092)へ。