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筑北の小仁熊ダムでヒシ繁殖拡大 管理や観光への影響懸念

小仁熊ダム湖上流部の湖面を緑一色に埋め尽くすように繁殖したヒシ(本社ドローンで撮影)

 筑北村西条の小仁熊ダムのダム湖で近年、浮葉植物のヒシ(ミソハギ科)が繁殖域を広げ、県や村の関係者が気をもんでいる。水面を覆うように葉を広げるヒシは、観賞用に育てられている大賀ハスと生息域を奪い合い景観悪化につながるほか、枯れて腐ったヒシは悪臭の原因になるとされる。ダム湖の管理業務にも影響を与え始め、対策に頭を悩ませている。

 ヒシは池沼に生える一年草で、とげのある種子はかつて忍者が使ったとされる「まきびし」で食用も可能だ。本社ドローンで上空から見渡すと、全長約1.5キロの小仁熊ダム湖のうち南側の上流部(小仁熊下)約450メート撮るまで生息域を広げ、岸辺の大賀ハスを抑え湖面全体が茂った浮葉で緑一色となっているのが分かる。
 小仁熊ダムを管理する県松本建設事務所・奈良井川改良事務所(松本市島立)によると、平成26(2014)年に生息が確認され、ここ数年で一気に繁殖域を広げた。担当職員は「ダム湖の点検に使うボートのスクリューに葉や茎を巻き込む恐れがある。繁殖域では湖岸を歩いて点検せざるを得ない」と話す。
 繁殖域から約250メートル下流側には村とくら沢ふれあい広場キャンプ場があり、昨年秋にラフティング体験が行われるなど、湖面の観光利用が模索されている。村観光課は「ヒシの繁殖で湖面が埋もれると観光利用にも悪影響だ」と心配している。

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