政治・経済

塩尻市立平出博物館 移転改築へ広い収蔵庫確保が課題

新平出博物館の建設が検討されている候補地。博物館機能で重要な収蔵庫の確保が課題だ

 老朽化に伴う移転改築の基本計画がまとまった塩尻市立平出博物館は、新博物館の資料の収蔵スペースの確保が大きな課題になっている。基本計画で見積もった収蔵庫の面積が、市が想定する新施設の規模に比べてかなり大きいからだ。基本計画には現博物館に加え、小中学校の余裕教室を活用した収蔵を検討する方針を盛り込んだ。

 「新平出博物館基本計画」の収蔵計画は、博物館再整備事業で必要な収蔵庫面積を903平方メートルと見積もった。一方で、市は新施設の規模を1400平方メートル、概算事業費20億円とみており、この規模で確保できる収蔵スペースは165平方メートル前後と試算される。
 現施設では、博物館を構成する「考古博物館」「歴史民俗資料館」「瓦塔館」の敷地内3施設の計270平方メートルで資料を保管。さらに旧保育園を含む他の3施設も使い、計439平方メートルで収蔵している。
 収蔵計画ではさらに、今後20年までの「考古」「民俗・歴史」の資料増加分として、194平方メートルが必要と見積もる。こうした収蔵庫確保については、有識者や地域住民でつくる策定委員会の助言を反映させた。
 一方、現博物館は土砂災害警戒区域内にあるため、人の出入りを最小限にし、収蔵庫への転用のため、収蔵環境に適した改修も検討する。分散保管に使う方針を示した施設には、必要な温湿度管理設備がない施設もある。
 市は、発掘調査で出土した土器片など使用頻度が低いものを取捨選択し、資料の状態や種別に応じて分別した上で、学校施設も活用する考えだ。収蔵は博物館の重要な機能の一つで、小松学館長は「新博物館で全部収納できれば一番いいが市の財政負担の問題もある」とする。