熊野神社でお船祭り 26・27日 安曇野市三郷 伝統の灯4年ぶり

県内最大級のお船が4年ぶりに奉納されることになった。安曇野市三郷明盛の熊野神社で26、27日に例大祭があり、全長13メートル、高さ8メートルの巨大なお船が中萱地区をえい行する市無形民俗文化財「お船祭り」が行われる。氏子総代や伝統文化の継承に取り組む中萱紫石会ら関係者が、伝統の灯を再びともそうと準備を進めている。
26日の宵祭りで午後7時40分ころから屋台を、27日の本祭りで午後1時10分ころからお船をえい行する。ルートは乾原から神社までの980メートル。神楽殿を3周する「お布令」が最大の見せ場だ。引き役を務める会社員・藤田徹さん(53)は「やっときた。盛り上げたい」と熱く語る。
お船の「飾り物」も見どころの一つ。NHK大河ドラマ「どうする家康」を題材に、三方ケ原の戦いを等身大の人形で再現する。紫石会の約30人が6月下旬から毎晩集まり、武将や馬などを細部まで作り込んでいる。
紫石会によると、お船に人形を飾るようになったのは明治9(1876)年から。かつては上中萱と下中萱でお船と屋台をぶつけ合ったため、「ケンカ祭り」とも呼ばれた。お船の奉納は一時期途切れたが、昭和56(1981)年に紫石会が発足して現在まで続いている。岩井亥佐男会長は「作業や準備に戸惑う部分もあったが、うれしい」と久々の奉納に胸を躍らせる。
屋台やお船は男子児童と紫石会による祭りばやしが雰囲気を盛り上げ、神楽殿で女子児童による舞の奉納もある。氏子総代の塚久實代表は「皆さんに楽しんでもらい、良い祭りだったと言ってもらえたら」と願う。