地域の話題

上高地線と人々の営み捉えた写真集 信大院生の小林さん自費出版

新島々駅に停車する車両の前で写真集を手にする小林さん

 松本市大村の信州大学大学院・総合人文社会科学研究科1年の小林智樹さん(23)はこのほど、市内を走るアルピコ交通の鉄道・上高地線と人をテーマにした写真集『そこに人がいるから』を自費出版した。車両と共に、上高地線で働く人や沿線で暮らす人々を温かい目線で捉えた写真が多く、新村、波田、新島々の3駅の窓口で販売されており、好評だ。

 A5判48ページ、表紙を含め34枚の写真を掲載した。春夏秋冬の順にページが進み、地元の小学生や大学生が乗降する姿や、夏の登山客、鉄道員の働く姿を捉えた写真などがある。表紙の写真は、踏切で走り去る電車を幼い男の子と父親が見送る後ろ姿を写したもので、男の子のワクワクした気持ちが伝わってくる。
 小林さんは東京都豊島区出身で、信大入学時に松本に移り住んだ。幼い頃から私鉄の写真を撮るのが好きで、上高地線の撮影もするようになったが、頻繁に通うようになったのは令和3年夏から。大雨で被災した上高地線・田川橋梁の復旧応援活動をしている市民有志グループに参加したことがきっかけだ。イベントで住民や駅員らと顔見知りになり、言葉を交わして撮影するのが楽しくて仕方なくなったという。
 7月上旬から3駅に置いた計50冊は売り切れ、増刷した。小林さんは「思った以上に反響がある。高校時代、通学で使っていた方から懐かしい風景が載っていて、うれしいと言ってもらえた。沿線の魅力の発信に一役買えたとしたら、作って良かったと思う」と話す。
 写真の撮影場所を記した沿線マップも封入し、1冊1000円。市内の次の書店でも販売する。
 books電線の鳥(城東1)、枯淡苑(開智2)、古本喫茶・想雲堂(大手4)、本・中川(元町1)