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少雨で奈良井ダムの貯水率低下 農業にも影響

貯水率が40%を割り込んで上流部が干上がっている奈良井ダム

 松本地方は7月22日の梅雨明け以降、まとまった雨が降らない状況が続いている。松本市や塩尻市などの水がめとなっている奈良井ダム(塩尻市奈良井)の貯水率は、8月21日現在で40%を割り込んだ。高温と少雨で農業などにも影響が出ている。

 気象庁によると松本市(松本市沢村松本)の梅雨明け以降の降水量は20日現在73ミリで、このうち30ミリは19日夕方の局地的な雨によるものだ。7月下旬から8月中旬にかけての平均降水量は85・7ミリで、19日の30ミリを除くと平年の5割ほどとなる。
 奈良井ダムの貯水率は21日午後4時現在で37・2%まで低下した。19日の午前は41・6%で、2日間で4・4ポイント下がった。ダム湖の上流部は干上がって底が見えている。
 長野地方気象台によると、今後もしばらくは局地的なにわか雨だけで、まとまった雨は降らない予報となっている。奈良井ダムの利水を管理する県企業局松塩水道管理事務所は「取水制限の目安は貯水率20%となっているが、このまま貯水量が下がり続ければ、その前に関係市村を集めて会議を開く必要がある」とする。
 雨不足は農業にも影響があり、JA松本ハイランドによると「日焼けなどによる品質低下が出ている。かんがい設備のない畑では秋野菜の地ごしらえができずに困っている所もある」。野菜産地の塩尻市洗馬で作業していた農家の男性は「スプリンクラーでの散水を例年の倍の1日4回やっている。雨が降らないから休む日がなく、暑さで体がもたない」と嘆いていた。
 各河川の水量も少なく、朝日村で鎖川から水を引いてヤマメの養殖を行う男性は「必要な水量を確保できず小さい池に魚を集めてしのいでいる。環境が密になると魚がぶつかってすれたり、病気がうつりやすくなったりして苦労している」と話し、雨が降ることを願っていた。