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安曇野・烏川渓谷緑地で冷凍庫故障の"緊急事態" 標本作りに奮闘

羽標本にするため、ハイタカの羽を抜く小椋さん

 安曇野市の県営烏川渓谷緑地で、はく製や標本にするための動物を保存していた冷凍庫が故障する"緊急事態"が発生した。解凍された動物の体は腐敗が進んでしまうため、スタッフの小椋緑さんが急きょ、標本作りを進めている。作業は16日ころまで続きそうだ。

 烏川渓谷緑地では、事故などで命を落とした野鳥や野生動物を、はく製や部分的な標本にして展示している。園内で見つかったり持ち込まれたりした動物を冷凍保存し、園の閑散期で低温低湿の冬に製作する。故障した冷凍庫は3台のうちの1台で、1~2月に持ち込まれた、比較的新しく状態がいい約30体が保存されていた。
 故障は8日に発覚し、職員が気付いたときには腐敗が始まってしまっていた。小椋さんは夏休みを返上し、骨や羽などできるだけ標本として活用しようと尽力。はく製にする予定だったイタチは頭骨を取り出し、ヒレンジャクやハイタカなどの野鳥は羽を1枚ずつ全て抜いて羽標本とした。
 腐敗の進みが速く、園の繁忙期でもある夏の作業は過酷だが、小椋さんは「多くの方から持ってきていただいた動物たち。命を無駄にしないためにも、いい形で生かしたい」と汗を流している。