教育・子育て

ぼくらの電気自動車、鈴鹿で完走 清水中3年の5人が製作

手作りの電気自動車を囲み、笑顔を見せる「KVT―46」のメンバー

 松本市の清水中学校3年生有志の作った電気自動車が、"モータースポーツの聖地"とされる三重県の鈴鹿サーキットを駆け抜けた―。単3電池40本を動力源にした電気自動車レース「Ene―1 SUZUKA Challenge KV―40」(7月30日、ホンダモビリティランド主催)で、サーキット3周約17・5キロを完走。中学生クラスで優勝に輝いた。

 技術科の丸山陽平教諭の声掛けで、美術部と卓球部各2人、帰宅部1人という異色のチーム「KVT―46」が結成。レースでは車好きな大平昊典さん(15)と古田宙さん(14)がドライバー、電子機器の組み立てが得意な市瀬陽登さん(15)、理科が好きな白津智貴さん(14)と宇原翔成さん(14)が整備を担った。
 6月から約2カ月かけて作った電気自動車が仕上がったのはレース当日。レース中にミラーが取れかけたり、目の前の車が横転したりといったハプニングもあった。電池が切れたらリタイアになる緊張感の中、運転では電流や電圧を細かく確認。平地は並列、坂道は直列と電池の回路を変えてエネルギーを効率的に使い、1時間15分46秒でゴール。規定時間の60分に最も近い時間でゴールしたチームに贈られる「パワーアカデミー賞」も受賞した。
 中学生クラスのエントリーは3校だが、企業や大学・高校を含む全103チームの約半分がリタイアしており、完走の難易度は高い。丸山教諭は「諦めない強い思いが結果に表れた」とたたえる。
 結成当初は互いになじみの薄かったメンバーもいたが、車作りを通じてすっかり意気投合し「楽しかった」と口をそろえる。「高校が違ってもまたやりたい」と古田さん。将来の夢はカーデザイナーという大平さんは「人が楽しめる車を作りたい気持ちが強くなった」と笑顔を見せた。