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夏の伝統 みそを天地返し 木曽

手前の桶で熟成中のみそを奥の桶に移し替える作業「天地返し」に精を出す蔵人と、木曽川下流域からの「応援団」

 明治12(1879)年創業の小池糀店(木曽町福島)の蔵人が5日、同町日義にある熟成庫で、みその発酵を促す「天地返し」を始めた。冬から春にかけて仕込んだみそを夏の一番暑い時期に桶から桶へ移しかえる伝統の技法。深い風味を引き出し、まろやかな味わいにするための大切な工程で、厳しい暑さの中での重労働は10日頃まで続く。

 みそを空気と触れさせることで酵母菌の働きを活発にし、大豆タンパクの分解を促進させるという。唐沢裕之工場長(50)とともに作業を進める唐沢尚之専務(52)は「発酵が進み、みそが一番元気な状態の今やらなければおいしいみそにならない。頑張るのみです」と額の汗を拭っていた。
 初日は、木曽川の上下流域の交流の一環で、無農薬食品の宅配などを手掛ける企業・名古屋生活クラブ(本社・名古屋市)の社員と、名古屋市に拠点を置く市民団体「木曽川流域みん・みんの会」の会員合わせて6人も作業を手伝った。交流作業は10年ほど続く。下流域の「応援団」のおかげで、天地返しを待つみそ約12トンのうち5トン分の作業が初日に終わった。