政治・経済

松本市長選 新人擁立動き鈍く 現職の2期目挑戦 確実視

建て替えが検討されている市役本庁舎所。市長選の争点となり得る課題だ

 来年3月に予定される松本市長選まで、あと半年余りとなった。臥雲義尚市長は9月以降に進退表明するとしており、5月に新人の会社社長・上條邦樹氏(53)=中央1=が出馬を正式表明して以降、他に目立った動きはない。臥雲市長が2期目に挑むのは確実視されているが、新人擁立の動きは低調だ。

 「半年前の段階で、今のような状況では、現職が有利では」。出馬に向けた動きが低調な現状から、2期目を見据える市幹部の声が聞かれる。臥雲市長は7月、駐日ネパール大使の訪問を受け「市長を続けていられれば、ぜひ(ネパールへ)訪問を実現したい」と言及。次期への意欲とも受け取れる発言だった。後援会幹部は「出馬は当然という雰囲気。市議会9月定例会中の表明もあるのでは」とみる。3月から立て看板もかけ替えていた。
 臥雲市長の1期目は松くい虫対策の方針転換や、アルプス公園のオートキャンプ場問題などでことごとく市議会と対立。この間、市政に注目してきた庄内1の自営業の男性(66)は「対立するのであれば市議会側から候補を擁立すべき」と期待する。ただ、議会から擁立する動きは今のところ見られない。ある市議は「一般的に2期目の現職は強い。市議からの出馬は相当の決意が必要で、難しいと思う」と分析する。
 令和2年の前回選は過去最多の新人6人が争った。半年前の段階で出馬の意思を固めていたのは臥雲氏だけだったが、複数の名前が取り沙汰されていた。菅谷昭前市長が11月に引退表明して以降、現市議の花村恵子氏(56)、元県健康福祉部長の大月良則氏(63)、県議会議員の百瀬智之氏(40)らが次々と名乗りを上げた。花村氏と百瀬氏は今春の統一地方選挙で当選したばかりで、大月氏も含め出馬への意欲を示していない。
 市長選では臥雲市長が掲げる市役所建て替えの「分散化」が争点となりそうだ。「きちんとした議論のない市長選だけは避けなくてはいけない」。寿小赤の会社員の男性(55)は現状を危ぶんでいる。