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図書館の本 盗難許すな 松本市、ICタグの導入検討

 松本市は、市中央図書館(蟻ケ崎2)など市内全11図書館の蔵書を管理する「ICタグ」の導入の検討を進めている。中央図書館が6月に実施した蔵書点検で、一般図書・児童図書(CD、DVD含む)の行方不明数が741点(前年比231点減)に上っており、抜本的な対策が不可欠となっている。図書館システムを更新する令和11年度の導入を目指し、必要経費の試算を始めた。

 松本市の図書館は、貸し出しの処理をしていない蔵書が持ち出されることを防ぐゲートシステムが導入されていない。行方不明の点数は近年減少傾向で、令和3年以降は1000件以下となっているものの、利用者のモラルに訴える対策だけでは限界がある。
 システム活用に必要なICタグの導入には約1億5000万円(管理費含む)の費用がかかることや、蔵書量が膨大なことが障壁となり、導入が進まなかった経緯がある。ただ、近隣の塩尻市や安曇野市の図書館は施設の新設に合わせて導入しており、松本市は昨年10月に策定した「図書館未来プラン」でICタグ導入を掲げた。
 全11図書館の蔵書約139万点にICタグを導入する経費は4587万円と試算。その上で蔵書量の多い中央図書館の1階と2階、南部、波田にゲートを設置する方向で検討に着手した。ゲート4台の設置費は1452万円を見込む。
 ICタグを導入すると盗難防止のほか、貸し出しや返却業務の効率化が大幅に進む利点がある。中央図書館の藤森千穂館長は「これまでは利用者の良識に訴えてきたが、デジタル化で抜本的な対策ができないか検討していきたい」と話している。