政治・経済

コロナ対策の中小業融資 返済先延ばし38件 塩尻市

 塩尻市が新型コロナウイルス経済対策で実施した中小企業向け融資制度で、昨年度から本年度にかけ、多くの事業者が元金の返済開始時期を迎えている。ただ、コロナ対策緩和後も厳しい経営状況が続く事業者は少なくなく、返済開始が実質先延ばしとなる「借り換え」制度の利用が多い。利用申請は昨年度が27件、本年度が7月末までに11件で、累計で38件に上る。

 市の「新型コロナウイルス感染症対策特別資金」(令和2年度実施)、「同経営安定特別資金」(2年度途中から3年度にかけて実施)の二つの制度を使った事業者を対象にする借り換えの申請は、年度末に向けてさらに増える見込みだ。
 借り換え制度は、同等条件の別の融資で得た資金を返済に充てることで、返済開始が実質先延ばしとなる。両融資制度の元金返済の据え置き期間は最長2年だが、返済開始を2年先延ばしにできる。
 借り換え制度も市の融資制度の一種だ。全体で79件の利用があった昨年度、コロナ関連融資を借り換えたのは27件(34.1%)だった。コロナ禍前の平成30(2018)年は借り換え件数の比率が18.2%で、市は「(コロナ融資の借り換えは)圧倒的に多い」とみる。借り換えた事業者の元金返済が6年春以降に始まるのを見通し、「借り換えの借り換え」にも一定の需要があるとみて、市は来年度以降の借り換え制度継続も検討していく。
 市産業政策課によると、借り換え制度を利用する事業者は飲食、製造、建設とさまざまだ。幅広い業種で、コロナ禍の苦境から抜け出せない業者が一定数いることがうかがえる。
 市は各制度資金の利率引き下げなどを行い、事業者の経営回復支援に取り組んでいる。同課の村上洋一係長は「市内事業者の声に耳を傾け、しっかりと経営を下支えしていく」と話している。