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テレビ松本 槍ケ岳ライブ中継の通年化に成功

槍ケ岳山荘に設置された4Kカメラ(左上)と、雲に包まれる冬季の槍ケ岳山頂

 テレビ松本ケーブルビジョン(松本市里山辺)は25日、北アルプス・槍ケ岳(3180メートル)の山頂近くにある槍ケ岳山荘に設置した、高精細の4Kカメラで撮影した映像のライブ中継通年化に成功したと発表した。氷点下30度、風速も30メートルを超えるという厳冬期を含めた高山地帯からの通年中継は日本初で世界的にも珍しいといい、遭難救助や気象観測に役立つことが期待されている。

 小屋が営業する春から秋にかけてはこれまでも中継を行っていたが、小屋の営業が終了して一帯が無人となる11月から翌年4月までの中継に昨冬初めて成功した。映像は山頂のほか、リモートコントロールすることで北アルプス南部の山々を見渡すことができる。今後、テレビ松本の自主チャンネルや松本駅のデジタルサイネージへの配信頻度を高める。
 冬季の中継は平成30(2018)年に実証実験を開始したものの、当初は過酷な環境に耐えられず失敗が続いた。社員が何度も準備に足を運んだほか、NHKの技術関連会社の協力を得て成功にこぎつけた。冬季は太陽光発電とメタノール燃料発電を組み合わせてカメラと通信設備を稼働させる。
 テレビ松本と槍ケ岳山荘が25日、NHK放送センター(東京都)で記者会見した。テレビ松本の佐藤浩市会長は「通年化は出発点。システムを噴火や地震予知に生かしたり、他の山でも中継を行いネットワーク化したりする研究を始めたい」と意欲を述べた。槍ケ岳山荘の穂苅大輔社長は「天候や積雪をリアルタイムで知ることができ、遭難救助の際に貴重な情報源になる」と期待した。