恐竜ブームで追い風 四賀化石館の教室大人気

松本市四賀化石館の化石採集教室が人気だ。平成元(1989)年の開館以来、化石にまつわる講座は多くの子供や愛好家を魅了してきたが、近年の全国的な恐竜ブームを追い風に人気に拍車がかかっているという。本年度も7枠・計210人の定員に対して、県内外の329人から応募が殺到。抽選をくぐり抜けた家族連れが化石や地層への触れ合いを通して、古代の地球や生物に思いをはせている。
15日午後は親子ら10組26人が参加した。四賀地区の川の増水に伴い一部行程を変更したが、約3時間をかけて、一帯が海だった1300万年前に「タイムスリップ」した。
前半はバスに乗り込んで地区内の現地見学へ。れき岩、砂岩、泥岩の露頭が一度に観察できる地層「豆岩」や、県天然記念物「穴沢のクジラ化石」を訪ねて回った。
後半はお待ちかね、化石採集だ。地区内で採集された石にたがねを当て、層に沿うように金づちでたたき続けると、ある瞬間パリン!石がきれいに二つに割れ、中から魚のうろこや骨、シダ類の葉や貝の化石が現れた。子供たちはルーペを使いながら夢中で観察し、愛知県の小学5年生・滝沢歩君(10)は「大昔の生き物が出てくるのがすごい。楽しい」と喜んでいた。
昭和61(1986)年に地元の小学生(当時)・山田智久君がシガマッコウクジラの化石を発見して以降、四賀で大規模な発掘が進み、化石館も開館。太古の海を感じる里山として注目を集めてきた。一方、現在は個人採集が禁止されており、同館の化石採集教室の人気が一層高まっている。
講座の案内人を務める職員の吉澤五美さん(79)は「化石を通して大昔の地球環境を知ることができる」、同じく麻和孝安さん(68)は「見て、触れて、想像する楽しさを博物館としてお手伝いし続けたい」と話している。