猿対策 ホウキモロコシ試験栽培 穂高有明の住民 「ほうき」特産化へ

安曇野市穂高有明の立足区の住民有志らが本年度、農作物を食い荒らすニホンザルの出没を防ごうと、遊休農地でホウキモロコシの試験栽培に取り組んでいる。猿が食べない農作物を育てて人里から遠ざけつつ、収穫したホウキモロコシの穂で昔ながらのほうきを作る。いずれは「安曇野ほうき」(仮称)として地域で特産化することも夢見ている。
「安曇野ほうきプロジェクト」と銘打った取り組みで、地元のクラフト作家・野中由紀子さん、立足区の元区長で農業・中村治幸さん、安曇野市明科七貴のほうき作家・百瀬佳明さん、わら細工作りをしている池田町会染の丸山美幸さんの4人が携わっている。
立足区では遊休農地のリンゴやクリを狙って猿や熊が出没するようになっている。中村さんは「農作物は片っ端から食べられてしまうので、この地区では畑ができない」と説明する。現状を打開しようと、地元の住民ボランティア組織「ささえ愛の会」が昨年、関係団体の協力を得て遊休農地約1ヘクタールで放置された果樹を切り、草刈りをして見通しをよくする活動を始めた。
草刈りをしただけでは農地がもったいないと、同プロジェクトが始動。松本市芳川地区の伝統産業「野溝ほうき」を学んだ百瀬さんらが賛同し、春に約3アールで種まきをした。生育は順調だが、百瀬さんは「穂が最後まで猿に食われずにいくかどうか」と気をもむ。8月中旬には収穫と脱穀を予定している。
中村さんは「これでほうき作りの講習などができたら地域が活気づく」と期待する。野中さんは「猿に負けていられない。いずれはほうきを特産にできたら」と意気込む。
◇
同プロジェクトはホウキモロコシの脱穀に使用する「足踏み脱穀機」を譲ってくれる人を探している。発動機付きも可能。問い合わせは野中さん(電話090・4464・9771)へ。