地域の話題

松本・善昌寺のおびんずるさま 30年越しの修理が一段落

修理が一段落した賓頭廬尊者像を囲む荻村さん(右)と大沢住職

 松本市清水1の善昌寺(大沢祐仁住職)が平成3(1991)年から進めてきた「賓頭廬尊者像(おびんずるさま)」の修理が一段落した。「きれいになった『松本のおびんずるさま』に会いに来て」と呼び掛けている。

 同寺は長野市の善光寺の末寺で、かつては「善光寺大勧進松本説教所」と呼ばれていた。4月に盗難に遭って話題を呼んだ善光寺の賓頭廬尊者像とゆかりがある。
 善昌寺の像は高さ50センチで、修理を手掛けた荻村繁男さん(86)=松本市中央3=によると、明治24(1891)年前後の作とされる。塗りがはげ鼻が欠けるなど傷みが激しかったため、幾重にも漆を塗り重ねて補強しベンガラで鮮やかに仕上げた。平成3年から4回にわたって修理に携わり、「生きているうちは塗り直し続けたい」と使命感を語る。
 賓頭廬尊者は釈迦の弟子・十六羅漢の筆頭だったが、みだりに神通力を用いたため追われた。このため、像は本堂の外に置かれている。神通力で参拝者の苦しみを取り除くとされ、像をなでると病気が治るという言い伝えがある。大沢住職は「大勢の人に親しんでもらえればうれしい」と話している。