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市民芸術館の野外劇「テンペスト」 市民キャストが奮闘

群舞を稽古する市民キャストら

 まつもと市民芸術館(松本市深志3)が屋上庭園で21~23日に上演する野外劇「テンペスト」に、市民キャストが大勢出演する。同館にとって串田和美さんが総監督を退任後初の創作作品で、串田さんが根付かせてきた市民キャストは、松本らしさを大切にした舞台の盛り上げ役として週末の稽古に集中して励んでいる。

 シェークスピア原作で、主演は県出身の俳優・羽場裕一さん。演出は益山貴司さんが担い、初めて屋上庭園で本格的な公演に取り組む。開演する夕暮れ時から夜へと景色が変わる中、街に浮かび上がる屋上を物語の舞台の「島」に見立てる。
 市民キャストは倍率1・7倍を勝ち抜いた県内外の13~65歳の29人。主に群舞で主人公が操る魔術を表現するなど各シーンを豊かに彩る。6月下旬からコンテンポラリーダンスのような動きを磨いてきた。コスチューム・アーティストひびのこづえさんの衣装や、暗闇に映える小道具演出なども見どころという。
 松本秀峰中等教育学校演劇部の3年生でバレエを習ってきた小泉舞さん(14)は、難しい振り付けも任され「体の使い方に発見があって面白い」「楽しい雰囲気と、少人数で表せられないものを届けたい」と意気込む。
 昨年の串田さんの公演に感動し、演劇に関わる機会を求めた松本市桐2の自営業・黒住祐子さん(45)は「仲間とつながり、人生が豊かになる」と感謝。市民参加で「(プロだけとは)違う形で伝わるものもあり、見た人にもっと演劇を好きになってもらえれば」と願う。
 他にも「まつもと市民オペラ」から3人が歌う女神役を担い、小道具・衣装作りなどに携わる公募の市民スタッフも活躍している。
 前売り券は完売した。