地域の話題

「追い払い隊」74人で始動へ 安曇野市・西山山麓でニホンザル被害

このほど7回開かれた隊員向け講習会。74人が応募した

 安曇野市が西山山麓で人里を荒らす猿を追い払うために隊員を一般募集した「ニホンザル追い払い隊」が、8月に始動する見通しとなった。市内外から74人の応募があり、隊員としての技術を学んだり資質を確認したりする講習会を終えた。最初の1~2カ月間は試用期間として穂高地域で活動し、その後は堀金地域と三郷地域にも拡大を予定する。

 隊員は非常勤公務員で定員は300人。今後も随時募集する。市によると地域住民が猿の追い払いを行う自治体はあるが、市が技術支援の業務委託をしているBO―GAの安曇野オフィス所長・市川哲生さんは「これほどの追い払い隊を組織するのは全国で他にはない」と説明する。
 西山山麓ではニホンザルが出没する地域が広がっており、農作物を荒らしたり住民を威嚇したりする事例が頻発している。実害が確認されている群れは8~9群で、特に穂高有明では群れの個体数が約100匹と大規模化しているという。
 市は、追い払いによって猿の警戒心を高める考えで、基本的に毎日6~7人で行う。活動に当たっては、雌の猿に取り付けてある発信器で群れの位置が分かるシステムを活用する。隊員は市貸与のビブスを着用して身分証を携帯し、群れに歩いて近づいて山に追いやる。ロケット花火やエアガンなどの「飛び道具」、爆竹は安全のため使用しない。
 追い払いは継続が重要で、3年後に人里への出没頻度が低下した事例があるという。市はこれまで行ってきた捕獲・駆除も並行して取り組む。耕地林務課は「初めてのことなので効果は未知の部分もあるが、地域住民の理解と協力をお願いしたい」としている。

連載・特集

もっと見る