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廃線敷の筑北村の活用模索 村とJRが調査着手

廃トンネル内を調べる筑北村の関係者(7日、第2白坂トンネル)

 筑北村とJR東日本長野支社は、篠ノ井線の西条(筑北村)―明科(安曇野市)駅間の旧線の廃線跡について、観光への活用を模索している。安曇野市側は約6キロ区間が「旧国鉄篠ノ井線廃線敷遊歩道」としてすでに整備済みだが、トンネルが中心となる筑北村側の西条駅~第2白坂トンネル間の約3・8キロは未整備のままだ。筑北村側の整備に道筋がつけば、安曇野市側と合わせて一体的な観光利用が期待できる。

 JRによると、旧線は明治35(1902)年~昭和63(1988)年に使われた。新線移行後に筑北村が管理する廃トンネルは、小仁熊(365メートル)と第1白坂(45メートル)、安曇野市境の第2白坂(2094メートル)になる。安曇野市側のトンネルは漆久保(53メートル)、三五山(125メートル)と短い。
 村によると、昨年12月にJR長野支社から観光活用の相談があり、両者は3月以降、現地調査を進めている。各トンネルはレンガ造りで保存状態は良好だが、長大な第2白坂トンネルにはたくさんのコウモリが生息する。事故が起きた際の緊急連絡・救助体制も課題だ。
 ただ、将来的に整備が実現すれば、明科か西条の駅近くにマイカーなどを駐車し、廃線敷を約10キロ歩いて電車で出発地に戻るという理想的なハイキングコースが生まれる。
 まずは「現状を生かして村内の短距離コースの開拓やJR・安曇野市と連携した企画を模索する段階」(村観光課)ながら、7日に筑北村側を実地踏査した太田守彦村長は「先人の努力が結晶化した歴史遺産だ。何らかの活用ができれば」と将来を見据えた。