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生坂でスモモ収穫

完熟したスモモを選んで収穫・出荷する小澤さん(左)と寿志さん

 生坂村北陸郷上野のスモモ園「いくさか李創郷」で今月、スモモの収穫が始まった。ブドウ園が広がる村内では珍しいスモモ園で、松川村北細野の農家・小澤敏雄さん(71)が7年前に約30㌃の農園を引き継ぎ試行錯誤してきた。完熟果実の出荷にこだわり直売所などで好評だったが、昨年は5月の降ひょうで壊滅状態に。2年ぶりとなる甘酸っぱい夏の味覚を村内外へ届けようと奮闘している。

 小澤さんは元県職員。退職後に生坂村役場で働いていた妻・より子さん(70)の縁でかつて村民が長年営み、担い手の絶えたスモモ園を継いだ。現在7~9月に収穫する6種類を育て道の駅いくさかの郷や安曇野市内の各農産物直売所へ出荷する。
 継いだ当初は各品種の特徴や出荷時期などの知識は無く、酸味は苦手ながらも毎日味見を繰り返して体で覚えた。その後、果樹が盛んな下伊那郡松川町の農家を飛び込みで訪ねるなど技術を学び、徐々に品質を高めた。
 スモモは収穫後に追熟できるためやや未熟な果実が並ぶこともあるが、小澤さんは完熟果実をその日に売れる分だけ出荷する。効率は悪いが「今食べたくて直売所で買う人がおいしく食べられるように」と話す。昨年はわずかに出荷できた傷物果実も喜んでくれた人がいた。いくさかの郷には入荷問い合わせもくるという。
 今年は4月からブドウ栽培を研修中の長男・寿志さん(46)も収穫を手伝う。小澤さんは「生坂で、春のハチク、秋のブドウの間に、ささやかな夏の味覚も楽しんでほしい」と願う。