政治・経済

ソバ新品種 倒伏しにくく麺は緑色鮮やか 県野菜花き試験場が農水省に登録申請

試験場内で栽培しているソバの新品種「桔梗13号」

 県野菜花き試験場(塩尻市宗賀)は、風雨で倒伏しにくいソバを開発しようと、新品種「桔梗13号」を育成しており、このほど農林水産省に品種登録の申請をした。従来の品種と比べて極めて倒れにくく、生産性や収益性の向上につながる可能性があり、生産者ととって大きな利点となりそうだ。県は種を春にまき、夏に収穫する「夏そば」の新しい品種として普及を目指す。

 試験場によると、県内のソバは夏にまいて秋に収穫する「秋そば」の品種「信濃1号」が主力で、「夏そば」の品種「しなの夏そば」も栽培されている。ただ、「信濃1号」も「しなの夏そば」も風や雨の影響で倒れやすい。倒伏すると、コンバインによる収穫が難しくなり、品質低下や収穫量の減少による減収につながりがちだった。
 10年以上の歳月を費やして開発してきた桔梗13号は、倒伏に強いタチアカネなどの品種を交配して育成。試験場は試験地で8年間、「桔梗13号」と「しなの夏そば」を栽培し、倒れにくさを比較した。畑作部の丸山秀幸主任研究員によると、「しなの夏そば」が地面にべったりと倒れてしまうような気象条件でも、「桔梗13号」は全く倒れないか、中程度で済んでいた。
 「桔梗13号」は色も魅力だ。ゆでた麺の色が鮮やかな緑色である品種「信州ひすいそば」には及ばないが、同試験場畑作部の三木一嘉部長は「『信濃1号』や『しなの夏そば』よりも緑色が鮮やか」と特徴を説明する。
 「桔梗13号」は品種登録まで3年ほど掛かる見込みだ。「秋そば」としても栽培可能というが、三木部長は「『夏そば』の主力になってほしい品種」と期待している。

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