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ウクライナの楽団招き第九合唱再び 塩尻のレザンホールが平和願い12月に企画

4年ぶりにウクライナの交響楽団と共演するレザン第九合唱団の団員募集を呼び掛けるチラシ

 塩尻市のレザンホールは12月24日、「歓喜の歌」の名で親しまれるベートーベン交響曲第九番を、メンバーを公募する市民合唱団とウクライナの国立フィルハーモニー交響楽団が演奏する年末コンサートを開く。令和元年以来4年ぶりの共演で、新型コロナウイルス禍を超え、ロシアによる軍事侵攻に苦しむウクライナに心を寄せ、アマチュアとプロが音楽を通じて平和を発信する。市内外を問わず、7月1日に合唱団員200人の公募を開始する。
 「レザンで第九を」と熱望する市民の声に応じ、音楽事務所の紹介で、ウクライナのキエフ国立フィル(当時)と平成29(2017)年に初めて行われ、令和元年に再演された。3年にも予定したが、コロナ流行で実現しなかった。

 今回は、レザンが5月中旬に招へい元に確認し、現時点で来日は可能との回答を受けて実施を決めた。演奏家には昨年2月からの軍事侵攻の影響で国外退避した人や戦闘員になった人もいるが、全員無事だという。事業担当の大矢喜之さん(50)は「コロナで歌から遠のいた人も多い。もう一度チームでハーモニーを創る楽しさを」と参加を呼び掛ける。
 原曲のドイツ語で歌う。練習は8月28日に始め、月3回程度で十数回を予定する。黄色と青色の「ウクライナカラー」をあしらう合唱団員募集チラシを市広報紙「広報塩尻」7月号に折り込み、レザンの公式ホームページで参加費など詳細を公表する。
 過去2回参加した男声合唱団コールファーター所属の塩尻市議・篠原敏宏さん(69)=奈良井=は「オーケストラが海外で活動・交流することはウクライナ国民の心の支えになると思う。復興や平和を願い、寄り添うアクションになれば」と話す。混声合唱団レザンフレンズ所属の小澤洋子さん(67)=大門幸町=も2回の参加を経験しており、「大変な状況で楽団を心配していた。もう無理かと思っていたのでうれしい。ぜひ若い人にも参加してほしい」と再演に期待を寄せる。