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島立堀米裸祭り 児童着衣で開催へ 250年の伝統継続重視

男児や保護者にふんどしの締め方を教える地元住民

 松本市島立の堀米に江戸時代中期から伝わる県無形民俗文化財「島立堀米の裸祭り」が、今年から着衣で開催されることになった。小学生の男児がふんどし一本でのぼりを担ぎ地区内を巡る夏の風物詩が、一部見物客のマナー悪化や価値観の変化で岐路に立たされている。町会関係者は250年以上続くとされる伝統の祭りを後世につなげようと、新たなスタイルを模索している。

 裸祭りは津島神社の牛頭天王を祭神とし、毎年7月の第1日曜日に開催している(今年は2日)。堀米町会の小学生男児がふんどし姿でのぼりを担ぎ、「オンヤーサー、モンヤーサー」とかけ声を上げながら疫病退散や五穀豊穣、厄よけを祈願する。地区内を巡って津島神社にのぼりを奉納すると、水の中に飛び込み、みそぎをする。県内で30件の登録がある県無形民俗文化財の指定を昭和63(1988)年に受け、地区内で代々受け継がれてきた。
 しかし近年、男児に執拗にカメラを向ける見物客が現れた。保護者から懸念する声が上がり、町会役員や保護者が見物客への声掛けなど対策をしてきた。しかし、さらなる対策を求める意見や、子供たちがふんどし姿を恥ずかしがって参加を敬遠していることもあり、4年ぶりに通常規模で開催する今年は着衣で開催することにした。子供たちは水着やスパッツの上にふんどしを巻き、体操着のシャツを着た上で地区内を巡る。参加は任意で、町会内の男児32人のうち17人にとどまる。
 ふんどし姿で地区内を巡ることには、子供たちの元気な姿を見せつけ、疫病を退散させる意味があるが、存続のため、苦渋の決断となった。堀米町会の床尾彰泰町会長は「正直残念な思いはあるが、本来の形を守ることより、祭りの継続を一番に考えた」と話している。