地域の話題

そば切り発祥の地守る店 塩尻「本山そばの里」が30周年

店を切り盛りする組合員たち。7月1、2日には感謝祭を予定している

 「そば切り発祥の地」とされる塩尻市宗賀の本山で、地元の人たちが企業組合をつくって経営するそば店「本山そばの里」が今年で30周年を迎える。「歴史あるそば切りの伝承と復活を」と有志が活動を始め、発祥の地にふさわしいそばを届けようと技術を高めてきた。感謝の思いを込め、7月に記念イベントを行う。

 現在は男性6人、女性10人の組合員が、そばを打ち、店を切り盛りする。風味豊かなソバは100%地元産を使用。生地を切る際は補助板を使わず、包丁に左手を当て、巧みにずらしつつ細めに切るのが特徴という。
 そもそもそば切りとは包丁で細長く切られ、麺の形状にしたものを指す。こうした形が現れる前は、ソバは粒食をしたり、粉にして湯でこねたものを味わったりした。『塩尻市誌』によると、江戸時代に俳人松尾芭蕉の門人・森川許六が編集した『風俗文選』に「蕎麦切といつぱ(いうは)、もと信濃国本山宿より出てあまねく国々にもてはやされける」とある。発祥の地とする時はこれらの文献を根拠とする。
 本山そばの里は平成5(1993)年、信州博覧会で地元有志がそばを提供し評価を得たのが始まりだ。そば店は、そばで地域を活性化しようと6年に開業。建物は質素だが、理事長の落合功さん(74)は「味には自信がある。今後も研さんを重ねたい」と意欲を見せる。
 1日と2日の「感謝祭」では通常通り営業しながら来店者に記念品を進呈。抽選会も行う。