農業でも脱炭素加速 松本市が資材の購入補助

松本市は農家の省エネルギー化やゼロカーボン推進を目的に、農業資材の購入費補助を本年度と来年度に行う。ビニールハウスなどの施設園芸を行う農業者向けに、電気でハウス内を温めるヒートポンプや、保温するためのカーテン、送風ダクトなどを導入した場合、300万円を上限に支援する。ハウス栽培で現在、主に使われている燃油使用暖房機の灯油や重油の使用量を減らす狙いで、6月中に農業者を対象に希望を調査し、7月から申請を受け付ける。
「ヒートポンプ導入事業」と「カーテン等保温設備整備事業」の2種類で、総購入費の3分の2以内で上限300万円まで補助する。本年度当初予算に関連費約1500万円を計上している。
ヒートポンプは電気で動くため、燃油を使った暖房機に比べ、二酸化炭素の排出量が大幅に削減できる。保温や気密性を高めるビニールハウス用カーテンは、温度の低下などを防いで暖房費を減らせる。送風ダクトはハウス内を効率的に温められる。補助を利用して農業資材を導入すれば、灯油や重油などの化石燃料の使用を減らせたり、暖房機器の運転時間を少なくしたりできる。
市農政課によると、風雪水害から経営を守るための「園芸施設共済」に登録している農家は275戸で、ハウスは1134棟ある。登録していない農家もあるため、実際にはもっと多い。燃料価格は高騰しているが電気代も値上がりしており、ヒートポンプの導入が経費節減につながるかどうかは不透明だが、「農家の省エネは温室効果ガスの削減にはつながる」(市農政課)として導入を促す。
6月末までに2アール以上のビニールハウスを所有する農家を対象に申請予定の調査を行い、希望者を把握して7月以降に実際の募集を始める。調査などの問い合わせは、市農政課(電話0263・34・3222)へ。