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高齢者や障害者 災害時は直接福祉避難所へ 島内地区の関係団体が基準づくり

福祉避難所への直接避難について検討する島内地区の関係者

 松本市の島内地区は、災害時に配慮を必要とする高齢者や障害者ら(要配慮者)が「福祉避難所」に直接避難できるようにする仕組みを検討している。市はいったん指定避難所を経由し避難先を振り分ける手法を想定するが、国の指針では直接避難が望ましいとする。優先度の高い要配慮者がどの福祉避難所に避難するかの目安をあらかじめ決めておく方向で、市や地元町会、地域包括支援センター、介護事業所などが基準づくりを進めている。

 島内は地域づくりセンター機能強化のモデル地区として令和3年度から防災に取り組んでおり、直接避難の検討はその一環だ。避難行動要支援者名簿の中から介護状況や理解力などに応じて優先度が高い人を抽出。個別に避難計画を立て、直接避難する福祉避難所を関係者と調整して方向付けておく流れを想定し、検討を進めている。
 ただ、個人情報の提供に協力が得られるか、優先度の判定を誰がどう行うかなど課題は多い。新橋町会の白木好雄町会長(68)は「簡単ではないが、枠組みを作る努力は住民の参加意識を高めることにもつながる。汗をかきたい」と話す。
 市は、民間の介護施設など約70カ所を福祉避難所に指定する。ただ地区によっては福祉避難所がない所、過疎化で避難支援が難しい所があるため、まずは指定避難所で福祉避難所での対応が必要な人を決定し、受け入れ体制が整った所から移送する流れを想定する。ただ、直接避難のルール作りについても検討していく考えで、福祉政策課は「島内での取り組みは直接避難の課題把握などに役立つ。参考にしたい」としている。