連載・特集

2023.6.18 みすず野

 宝くじの当せん金支払い期限が間もなく切れると知って、慌てて窓口へ行った。わずか数千円だが無駄にはできない。昼食に普段よりちょっぴり高額な品を頼んだ。宝くじを買ったことも忘れていた◆数年前、気まぐれに買った年末ジャンボ宝くじで10万円が当たって、しばらくジャンボくじだけ買った。その度に少額がそこそこ当たったが、いつの間にかやめてしまった。10万円は同僚とウナギを食べるなどしているうちに消えた。それでも、当せんを知ったときは、声を上げるほどうれしかった◆「もしも、宝くじで○億円当たったら」というのは、定番のテーマだ。こういう話題は罪がないので何回でも繰り返す。大盤振る舞いするというのが主流だろうが、ちまちま使うという方法も必ず上がる。「全額寄付」などという答えは「偽善者」とののしられる◆現代では合法的に一獲千金の夢がかなう数少ない機会だ。「富くじ」を扱った落語もあり、庶民が描く昔からの夢の一つだったのだろう。10万円であれだけうれしかったのだから、○億円なら―と考えるが、これ以上ないほど極めて冷静になるかもしれない。もしもの話だけれど。