連載・特集

2023.5.13 みすず野

 きょう松本市のキッセイ文化ホールでコンサートを開く加藤登紀子さんは、昭和46(1971)年に「琵琶湖周航の歌」をヒットさせた。旧制第三高校(現京都大学)水上部(ボート部)に所属していた小口太郎(1897~1924)が作詞した◆小口は諏訪郡湊村(現岡谷市湊)出身で湊尋常高等小学校(現湊小学校)を卒業した。同じ小学校出身なので、小口は大先輩になる。知らなかったが、この歌はいつからか母校の第二校歌になっていた◆生地は諏訪湖沿いの地域で、水上部で琵琶湖を周航しているとき、故郷の湖を思いながら作詞したと伝えられる。昭和63(1988)年、諏訪湖の釜口水門西側に顕彰碑と歌碑、銅像が建立された。歌碑は三高出身でノーベル物理学賞を受賞した江崎玲於奈さんが揮毫。除幕式に列席された様子を取材した◆「琵琶湖周航の歌」は、大ヒットした「知床旅情」に次ぐシングルレコードとして発表されたが、B面だった。A面は加藤さんが作詞・作曲した「少年は街を出る」。この歌を聴くたびに、当時胸に抱いていたさまざまな思いがよみがえる。忘れているが、あのころは歌と同じ少年だった。