政治・経済

松本市議選 多様化する戦術 各陣営知恵比べ

三味線の演奏で候補の出陣を盛り上げる陣営(16日)

 23日投開票の松本市議会議員選挙(定数31)で、各陣営の選挙戦略が多様化している。地元を挙げた集会の開催や遊説での地盤固めだけでなく、選挙カーを使わない、SNS(交流サイト)で情報発信する、「自分らしさ」を運動で表現する―などの試みが目立つ。地域のつながりの希薄化、価値観の多様化が進む時代にどう支持を拡大すべきか、39人の各候補は知恵を絞る。

 各方面に配った後援会加入申込書がなかなか集まらない―との悩みが複数の陣営から聞かれる。ある年配の現職候補は、後援会加入率が前回選から半減。少子高齢化に加え、新型コロナウイルス下で住民同士の交流が減ったことなどが要因とみる。
 そのため陣営は従来の電話作戦(電話による投票呼び掛け)をやめ、若い世代による「IT戦略部」を立ち上げてSNSでの情報発信に切り替えた。候補は「前回より戦い方が難しい選挙で、やり方をかなり変えた。(地元を背負う)次代へのつなぎ役になりたい」と意気込む。
 派手な選挙運動を控える動きもある。ある新人候補は「選挙カーでの連呼行為は時代に合わない」と、1日10~20回のつじ立ちで浸透を図る。同様に選挙カーを使わない現職候補は「若者が政治参加しやすくするためにも、お金をかけずに活動したい」と事務所開きもしなかった。
 選挙活動に自由な表現を求める動きも出始めた。ある新人候補は出陣式で厳かな神事はせず、所属するゴスペルグループの仲間と賛美歌を歌い会場を盛り上げた。選挙カーの出発時は支持者が三味線を演奏。「選挙は堅苦しいイメージがあるが、明るく楽しい選挙にしたい」と、その候補は狙いを話す。