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「お稲荷さん」のほこら自作 安曇野・三郷の中村竜太郎さん

自作のほこらと中村さん。さい銭箱も作った

 安曇野市三郷小倉の飲食店経営・中村竜太郎さん(60)が、地域の中村姓8軒で古くからまつっている「お稲荷さん」の木製ほこらを自作した。以前のほこらは少なくとも祖父の時代には使われており、野ざらしのため朽ちていた。趣味の日曜大工の腕を生かし、素材にもこだわった銅板ぶきのほこらを2年かけて完成させた。

 元のほこらは高さ約40センチ・幅約30センチで、新しいほこらは高さも幅も約1メートルと3倍の大きさになった。素材は主にヒノキで、壁に屋久杉を使用。内部は畳貼りになっている。
 新型コロナウイルス禍で店が暇になったこともあり、インターネットで見つけた設計図を基に作り始めた。材料費は30万~40万円かかったが、同じサイズのほこらを購入すると約150万円もするという。曲線を描いた屋根は手前と後ろで勾配が違い、合わせるのに何度も失敗した。ようやく完成し、自己評価は「70点から80点」と及第点を付ける。
 中村さんが日曜大工を趣味にしたのは20年以上前で、自分用のげたを作ったのが始まりだった。その後、10足以上を作って販売もしている。店のガラス戸を格子戸に作り替えたり、いろり部屋を改装したりしている。
 お稲荷さんには年1回集まって掃除やお参りをしている。祖先が大事にしてきたほこらを自分の手で造り替えたことについて、中村さんは「また朽ちるまで大事にしてもらえたら」と末永く愛されるよう願っていた。