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「高野」北海道から開田へ 代理母生まれの木曽馬 親子でのんびり

開田にやって来た高野(左)。代理母の福菊姫(右)も一緒に放牧されている

 木曽地域の在来馬の受精卵を移植した北海道和種(どさんこ)の代理母馬から初めて生まれた雄の子馬「高野」が北海道から木曽町開田高原末川の木曽馬の里乗馬センターにやって来て、のんびりと暮らし始めた。木曽馬は全国に134頭しかおらず、種の保存が急がれている中で、繁殖の可能性が広がった実例だ。

 高野は昨年5月、同センターで飼育する木曽馬の雌・春嶺から採取して交配した受精卵から生まれた。帯広畜産大学(北海道帯広市)の取り組みで、長距離移送した受精卵から子馬を誕生させる生殖医療補助研究の成果になる。木曽馬保存会(木曽町開田高原)が連携した。
 3月末に木曽馬保存会の中川剛事務局長ら2人が、帯広畜産大から高野と、代理母馬「福菊姫」を引き取った。わんぱくな面が見られる高野は、体高120㌢ほどまで成長した。中川事務局長は「これから同じ年の子と交流する中で、もっと性格が分かってくると思う」と話す。福菊姫は高野の出産後、別の受精卵を再度移植され現在妊娠中だ。6月ごろに出産する予定だという。2頭の放牧は3日から始まった。
 中川事務局長は、設備や技術、資格・許可などがそろい、乗馬センターでも受精卵移植へ一歩踏み出す体制が整ったことを踏まえ「これから、自分たちで技術を確立させた上で、県内の馬のおなかを借りて木曽馬を守っていきたい」と将来を見据えた。