松本市 フレイルAI判断開始へ 電力データから

松本市は本年度、介護認定を受けていない75歳以上の1人暮らし市民を対象に、電力データを分析して健康な状態と要介護状態の中間となる「フレイル」予防につなげる取り組みを始める。中部電力(本社・名古屋市)などと協力して、高齢者の外出の頻度や就寝時間、活動時間などを電力データから人工知能(AI)が分析し、フレイルの兆候を早期発見する。対象者は約4000人で無料で受けられる。24日に申し込みの受け付けを始める。
市は昨年度、中電と共同で電力データを活用したフレイル検知の実証実験をした。市西部の高齢者93人をモデルに分析したところ、フレイル検知の正解率が83%と高く、有効性が認められたため全市的に行うことにした。
フレイルの検知は毎月1回行われ、中電がAIを活用した結果を市に報告、保健師らがフレイルとされた市民への健康相談などをする。電力データによるフレイル検知は、中電が各家庭に設置している電力スマートメーターからデータを収集するため、新たな機器は必要ない。市は本年度一般会計予算に、2000人分の約680万円を計上している。
市健康づくり課によると、同様の取り組みをしているのは三重県東員町と松本市のみ。臥雲義尚市長は「大勢の人が利用することで、早期にフレイル状態を認識でき、必要なところに保健師が対応できるようになる」と話している。