連載・特集

2023.4.15みすず野

 塩尻市出身で、筑摩書房創業者の古田晁が亡くなり今年で50年になる。それに合わせるように、昨年10月29日に市民交流センターで開かれた臼井高瀬さんの講演会が『古田晁と臼井吉見の55年6か月』と題した講演録として、古田晁記念館から発刊された◆高瀬さんは安曇野市出身の作家・臼井吉見の長男。大正7(1918)年、旧制松本中学(松本深志高)に入学して出会ってから、古田が亡くなる昭和48(1973)年10月まで続いた交友と、古田の人間的な魅力を語る◆「古田さん自身は、本をあまり読まないんです。じゃあどこを見て作家に書かせるのかというと、その作家がいいやつかどうかなんです。いいやつが書いたもんは間違いなくいいという、そういう信念なんです」。古田は29日の夜筑摩書房近くのバーで倒れ、間もなく死去した◆その人物像は、没後間もなく多くの関係者が寄稿した『回想の古田晁』(筑摩書房)などにつまびらかにされている。このA5判、48ページの小冊子では、持病のため1年以上酒を断っていた古田がなぜこの夜飲んだのか、高瀬さんの思いが語られる。市立図書館本館で扱っている。500円。