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伸ばした髪を医療用ウイッグに 松本大の百瀬さんが寄付

寄付のために伸ばした髪を美容師に切ってもらい、うれしそうな百瀬さん(松本市深志2の美容室Coni)

 松本市の松本大学総合経営学部4年の百瀬静哉さん(22)=松本市筑摩4=は14日、病気などで髪に悩みがある人が使う「医療用ウイッグ」の製作のために2年半にわたって伸ばした髪を切った。男性なのに、就職活動中なのに髪が長いなんて、という目で見られるつらさもあったが、髪を必要とする人の役に立ちたい一心で取り組んできた。

 髪を寄付するヘアドネーションを決意したのは、2年生の時。新型コロナウイルス禍で最前線で働く医療従事者の姿に感銘し、自分にできる社会貢献を考えた。
 規定の31センチの長さになるまで伸ばし続ける間、苦労が絶えなかった。女性によく間違えられ、男子トイレに入りにくくて、誰でも使える多目的トイレを使った時もあった。就職活動時は、髪が長い理由を説明しても了承が得られず、内定がもらえない厳しさがあった。
 「髪が必要な方の笑顔のためにという信念でやってきた。大変だったけれど達成感がある」と、髪を切って晴れ晴れとした表情を見せる百瀬さん。4月に念願のホテル業に就く。「ホテルマンは髪を短くして清潔感があると、お客さんの信用が得られると思う」と自覚し「人の気持ちを理解して受け入れる社会人になりたい」と意気込んでいる。