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民藝の心伝える施設に成長 松本のギャラリー三代澤3周年

ギャラリーが入る土蔵造りの建物。市登録文化財の第1号登録物件だ

 松本の民藝運動に尽力した型絵染作家・三代澤本寿(1909~2002)の作品を公開するギャラリー三代澤(松本市中央2)が開館3周年となった。三代澤ゆかりのカレー店だった土蔵造りの建物2階で、有志の顕彰団体が手弁当で運営している。新型コロナウイルス禍にあっても年間6000人が訪れ、松本の「民藝の心」を伝える施設として存在感を放つ。

 菓子の企画、製造、卸を行う企業「たなか」(甲府市)の会長で、三代澤作品の魅力を深く知る田中彰夫さん(78)=甲府市=が建物を取得し、1階を直営店「壱の蔵」、2階をギャラリーに改装して令和2年3月に開いた。季節ごとに作品を入れ替え、びょうぶや染め絵、のれんなど約20点を展示している。
 「新しくも懐かしい...なぜか深呼吸をした気分になった」。建物は観光地でもある中町通りに面し、たまたま訪れた県外客も多いが、三代澤作品の魅力を知り、感想を記していく。顕彰団体「m・motoju会」のメンバー10人が交代で常駐し、三代澤作品の説明だけでなく、民藝の歴史や関連施設も紹介し「民藝の街松本」の語り部となっている。
 三代澤の親族で「m・motoju会」代表の三代澤保水さんは「徐々にと思っていたので、ここまで多くの方に来ていただけるとは思っていなかった」と感謝する。田中さんは「若い世代の方々にも協力をいただき、長くずっとやっていかれたら」と願っている。
 3周年を記念し、16~19日にギャラリーを入場無料とする。開場時間は午前10時~午後4時。