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「吉野神社本殿」安曇野市文化財に 江戸中期の貴重な建築物、年度内指定へ

市文化財に指定するよう答申された吉野神社本殿(信州大学梅干野研究室提供)

 安曇野市文化財保護審議会(百瀬新治会長)は14日、豊科の「吉野神社本殿」を市有形文化財に指定するよう市教育委員会に答申した。穂高神社(安曇野市穂高)の式年遷宮の際に払い下げられた江戸時代中期の本殿で、穂高神社本殿ならではの造りを「地域的な特色が顕著」と評価した。28日の市教委定例会で審議され、年度内に指定される見込み。

 穂高神社の式年遷宮は20年ごとに本殿を建て替え、古い社殿は取り壊すか他の神社に払い下げられた。本殿は一般的な神社の「一間社流造」を基本としつつ、参拝するための向拝が壁で囲まれていたり、縁側の部分がご神体がある母屋まで囲っていなかったりと、造りに特徴がある。市内には、吉野神社を含め9棟が現存している。
 吉野神社本殿は宝永6(1709)年に穂高神社の本殿として造られ、明和6(1769)年に移築されたと推定される。江戸時代中期の社寺建築物は市内でも数少なく、建築方法や装飾などの変遷を知る上で貴重だという。
 神社氏子総代の荒木宏代表は「歴史的価値が高いと認められうれしい」と喜び、「修繕しなければならない部分もある。指定を機に地域全体で守っていければ」と話した。
 現在、安曇野市の指定文化財は158件で、うち29件が建造物の有形文化財となっている。