政治・経済

脱炭素施策 新年度に加速 松本市の予算倍増へ

 松本市は、重点戦略の一つとするゼロカーボン(脱炭素)に向けて来年度も幅広い取り組みを展開する。環境省の「脱炭素先行地域」に選ばれた乗鞍高原(安曇)をはじめ市内各地での再エネ・省エネ設備導入を支援するほか、地域エネルギー事業会社の設立を目指して調整を進める。家計を圧迫する燃料高はエネルギー調達を見直す動きにつながるとし、再エネ普及の足がかりを築く考えだ。

 新年度一般会計当初予算案に計上したゼロカーボン関連経費は、前年度当初の約2倍の2億5200万円。このうちゼロカーボンパークを目指す乗鞍地域の関連が約半分を占める。
 脱炭素先行地域では薪ストーブなどの再エネ・省エネ設備導入に国から手厚い補助が出るが、乗鞍では宿泊業者が高齢化して環境投資に二の足を踏む事例が多く、本年度は補助金予算の2割しか執行されなかった。来年度は経営コンサルタントが必要に応じて事業計画の作成を支援し、最適な設備導入を建築士などの専門家が助言することでてこ入れを図る。
 太陽光発電の普及に向けては、事業者が自家消費目的で導入する場合に固定資産税相当額を補助。既存住宅についても、第三者が所有し初期投資ゼロで設置できる「PPA(電力販売契約)モデル」を補助対象に加える。
 物価高・燃料高に直面し家計の負担を減らそうと足元を見直す意識の高まりについて、市は再エネ普及に追い風とみる。環境・地域エネルギー課の鈴木博史課長は「脱炭素が絵に描いた餅にならないように、実現性の高い事業に着実に取り組む年にしたい」と話す。
 再エネ導入で中心的役割を担う地域エネルギー事業会社については、経営体制の検討が続く。設立のめどが付いた段階で来年度中に補正予算を組む方針だ。