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上高地線 田川橋梁が完全復旧 豪雨で被災 1年7カ月ぶりに

補強工事が終わった田川橋梁の橋脚(手前)

 令和3年8月の豪雨で被害を受けた、松本市内を走る鉄道・上高地線の田川橋梁が1年7カ月ぶりに完全復旧した。2本ある橋脚のうち、豪雨で傾いた1本の再建後に進められてきたもう1本の橋脚の補強が完了し、電車が通常の速度で走行できる状態になった。

 補強工事を行ってきた橋脚は、橋脚そのものは無事だったものの、豪雨で河床が削られた状態になっていた。今後も橋を長く使用するため、橋脚周辺を深さ6メートルにわたって固めた。工事は6日に終了し、今後1カ月をかけて足場の片付けを行う。終了を待って電車の速度を元に戻すという。
 橋脚2本の一連の工事の総事業費は4億円弱。市のほか県と国の支援を受けてアルピコ交通(同市井川城2)が進めてきた。傾いた橋脚を再建して仮復旧し、昨年6月に運行を再開した。
 大きな設備投資となったため、路線の中長期的な維持には利用の拡大が欠かせない。同社鉄道事業部の隠居哲矢部長は「関係機関、沿線の方の協力で復旧できた。引き続き生活の足として利用していただけるように努める。観光利用の回復にも期待したい」と話している。