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県防災ヘリ墜落事故から6年 安全運航へ師弟の決意固く

信州スカイパークにある防災ヘリ墜落事故の慰霊碑前に立ち、慰霊碑とその向こうの鉢伏山を見つめる手塚さん(右)と上地さん

 県消防防災ヘリコプター「アルプス」の墜落事故から5日で6年を迎えた。令和2年10月に県消防防災航空隊に入隊した手塚勇樹さん(60)はヘリの機長として、隊の体制立て直しという重責を担う。松本広域消防局出身の上地洋平さん(37)ら若手操縦士と、安全運航体制の確立に向けて力を注いでいる。

 手塚さんは海上自衛隊や新潟県警で操縦士として活躍した後、事故後不在となっていた航空隊の機長候補として入隊した。3年半空席となっていた機長の任務は「大変な仕事になる」と覚悟していた。
 一方の上地さんは、今では事故当時に在籍していた唯一の隊員となった。松本広域消防局から平成27(2015)年に入隊し、現在は機長を目指して経験を積んでいる。
 手塚さんにとって、地上隊との連携の方法などを助言してくれる上地さんは「頼もしい存在」に映る。上地さんも、手塚さんとの初フライトで目にした操縦計器を駆使する飛行は「新鮮だった」と信頼を寄せる。
 手塚さんは65歳になる5年後には引退を迎える予定だ。それまでに「上地さんには場数を踏んでもらいたい。初めて見る現場で瞬時の判断ができるようになってほしい」と期待を込める。上地さんは、事故で犠牲になった隊員たちに思いをはせながら、誇れる航空隊を築き、次世代へつなげていきたいと決意を強くしている。