松本中心街の集客いかに パルコ閉店発表で魅力創出策さらに

2年後の閉店を発表した松本パルコ(松本市中央1)は、閉店の理由の一つとして郊外の商業施設の充実による競争激化を挙げた。新型コロナウイルス禍で、消費者の志向も近所での買い物を好むように変化したとされ、その逆風は続いている。パルコと同様の課題に直面する市中心街の大型店は、街の魅力をいかに創出し、にぎわいを維持するか模索している。
国内外のトップブランドをそろえる松本パルコはかつて、20代を中心に全県から買い物客を集めた。ただ、同社の林謙一執行役員は2月27日の会見で「(パルコだけでなく)松本のエリア全体として集客の範囲が狭まっている」と指摘した。
平成31(2019)年策定の市商業ビジョンに引用された、県の27年度商圏調査と直近の令和3年度調査を比較すると、松本市の商圏に大きな変化はないものの、市周辺ではこの1、2年の間に開業した商業施設が多い。
29年に開業したイオンモール松本(中央4)は当初、「観光モール」としての性格も持ち、広域的な集客を目指した。しかし、新型コロナ感染拡大後は来店客の8割が中信地区からとなり、近隣の人に高頻度で足を運んでもらえるモールへと方針をシフトしている。
中心街は郊外に比べて広い駐車場が確保できないというアクセス上のハンディがある。井上(深志2)の井上博文副社長はにぎわい維持のために中心街が整えるべき条件として、ハンディを上回る街の魅力の創出、さまざまなニーズに応える多様性―の2点を挙げる。井上副社長は「パルコの閉店は街の多様性の面で痛手。残る大型店や商店の取り組みが試されることになる」と話す。