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地域の演劇支え続けて60年 まつもと市民劇場が来月400回例会

歴代の東京芸術座の公演ポスターで活動をPRするまつもと市民劇場の会員

 中信地方の観劇愛好者でつくる会員制演劇鑑賞団体・まつもと市民劇場が、2月で設立60周年を迎えた。会費を使って首都圏などで活動する劇団を招き、年5、6回の会員向け公演(例会)を主催。現在は小学生~90代の約1000人が新劇や会話劇、ミュージカルといった多彩な演目に親しむ。3月に開く400回目の例会は、東日本大震災を題材にした東京芸術座の「いぐねの庭」だ。

 まつもと市民劇場は昭和38(1963)年に「松本勤労者演劇協議会」として発足。会員が公演の企画や運営を手掛けるのが特徴で、受け付け、座席の割り振り、役者への花束贈呈なども分担・協力して行う。公演後には会員の感想を掲載した機関誌「すぽっと」を発行。長年の会員の島﨑重子さん(73)=松本市井川城2=は「演劇に主体的に関われる所や仲間との連帯感が会の魅力」と話す。
 市民劇場は全国にあり、商業ベースに乗りにくい劇団の全国巡演を支える存在だ。一方、近年は会員の高齢化や新型コロナウイルス禍の影響で全国的に会員数の減少が進み、活動休止になった団体もある。事務局長の荒井美保さん(52)=同市庄内=は「コロナ禍で苦境にある演劇界のためにも、活動を盛り上げたい。会員数が増えればその分劇団に還元でき、良質な演劇制作につながる」と力を込める。
 400回例会の「いぐねの庭」は、3月7日午後6時45分と8日午後1時半にまつもと市民芸術館で開演する。東京芸術座は、まつもと市民劇場の1回例会「忍びの者」を上演して以来、半世紀以上縁をつないできた劇団だ。400回例会の運営に携わる百瀬純雄さん(68)=山形村=は「ぜひこの機会に生の芝居に触れてほしい」と呼び掛ける。
 入会費1500円、月会費2400円。問い合わせはまつもと市民劇場事務局(松本市深志2、電話0263・34・2747)へ。