松本市の宿泊税 経営者ら徴収業務に不安 市が負担減へ補助制度検討

松本市が県宿泊税に上乗せする形で来年6月の導入を目指す市宿泊税を巡り、市内宿泊事業者から、観光客から徴収した税を市に収める「特別徴収義務者」になることを不安視する声が上がっている。市が24日に市役所、25日に浅間温泉文化センター(浅間温泉2)で宿泊事業者との意見交換会を開催したところ、税導入に対応したシステム改修や運用面での質問が相次いだ。市はシステム改修費用の補助制度を創設する方向で検討している。
市の独自課税は1人1泊150円(県との合計300円)、制度開始後3年間は100円(県との合計200円)。宿泊事業者の負担を減らすため、宿泊料金に応じて税額を決めるのではなく、一律定額制とした。
ただ、宿泊業者からは負担を不安視する声が多い。美ケ原温泉の旅館経営者からは「システム改修費用の負担が心配。宿泊客から宿泊税を払わないと言われたらどう対応したらよいか。市や県にクレーム対応を任せてよいのか」との意見が出された。中心街のゲストハウス経営者は「事前決済でキャンセルになった場合、宿泊税の返還にはどう応じたらよいのか」といった細かい運用について質問した。
宿泊業者は、予約管理・システムの導入や改修の経費、自動チェックイン・アウト機、キャッシュレス精算システム導入の検討に迫られる。市観光プロモーション課の勝山裕美課長は「宿泊事業者の負担をできるだけ減らし、市宿泊税を市独自の観光振興に役立てていきたい」と話している。
市は独自課税で年間約3億円、導入開始3年間は年約2億円の収入を見込み、市の観光戦略「観光ビジョン」に基づき、観光サービスの充実に充てる。28日は市安曇支所で意見交換会を開く。