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合図開始「車6台分」手前で まつもと道路交通考・第3部③ ウインカー ゆとりが大切

 車が車線変更や右左折をする際の合図(ウインカー)のルールは、運転免許の取得時に誰もが学ぶことだ。ただ、免許取得後に慣れが出たり、周囲に影響されたりして、無意識のままルール違反のウインカー操作に陥ってしまうドライバーもいる。適切な合図の出し方をあらためて確認したい。
 岡山県では、車が右左折や車線変更をする時に合図を出さなかったり、直前に出したりする危険な運転「岡山ルール」が問題視されてきた。そこで岡山県警は平成29(2017)年から、岡山市などの主要な交差点付近に「★合図」という独自の道路標示を施す試みを始めた。「交差点の手前30メートル地点」を表す表示で、道路交通法で定められている右左折時のウインカー操作をドライバーに促す意味がある。現在は計31カ所の交差点にあり、岡山県警交通規制課の宮崎満次長は交通安全の推進に「一定の効果がある」としている。
 では、こういうマークがない松本地域ではどういう目安で合図を出せばいいのだろうか。「普通乗用車6台分」がよく使われる目安で、信州つかま自動車学校(松本市筑摩4)の指導員・川本諭さん(52)は「若い人には学校の25メートルプールより少し長いくらい」とも教えているという。
 路面で確認できるものとしては、片側2車線道路の交差点近くで車線境界線が破線から実線に変わる位置=図1や、横断歩道などの存在を知らせるダイヤマークの交差点に近い方=図2=も目安になる。
 車で進路(車線)変更をする場合の合図開始は変更の3秒前からと決まっている。日本自動車連盟(JAF)は実際にハンドルを切るまでに「ゼロ・イチ、ゼロ・ニ、ゼロ・サン」と数えることを勧めている。
 気をつけたいのは、最近の車に採用されているワンタッチウインカー(レバーを軽く押すと作動する)だ。合図の消し忘れを防ぐ機能で、車種によるが作動させると3回の点滅で終わる場合が多い。だが、点滅3回では「3秒前から変更完了まで」というルールに反してしまう。
 松本地域では右左折時にブレーキを掛けて減速してから合図を出す車も多く見られるが、これでは追突被害に遭いかねない。前方を走る車が右左折の合図を先に出せば次に減速するのが予想でき、後続車のドライバーがブレーキに足を掛けるなどの準備ができる。
 同自動車学校の市川安秀校長(61)は「初心に返ってルールを再確認してほしい」と安全運転を呼び掛けている。