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住民が守る涅槃図を一般公開 松本の西善寺が17日から

公民館の大広間いっぱいに広がる涅槃図。和田境町会の住民が当番制で一般公開を担う

 松本市和田の西善寺の総代会は17日、寺所蔵の「涅槃図」の年に1度の一般公開を、寺に隣接する和田境公民館で始める。明治初期の廃仏毀釈で廃寺となった旧念来寺(松本市中央4)から仏像とともに移されて以降、住民たちが大切に守ってきた涅槃図で、23日まで公開する。

 涅槃図は縦4.4メートル、横5.1メートルで、江戸時代の享保14(1729)年に狩野派の絵師が手掛けた。太陽と月の「日月二星」が描かれた全国的に珍しい構図で、3日まで松本市立博物館で開かれていた特別展「春を待つ涅槃図」でも展示された。
 天台宗の西善寺は檀家がないため、地元の和田境町会の五十数軒が守ってきた。1月のだるま講と今回の涅槃図の拝観料のみが収入源だという。総代の宮島路夫さん(72)は「涅槃図や仏像は縁があってここに来たもので大切にしているが、維持していくのは大変」と語る。同寺の涅槃図は「大きさや緻密さが特徴」だと話し、「お釈迦様の入滅を悲しむ人たちの表情もさまざまで、それを囲む動物の毛や羽などの質感も見事。ぜひ見に来ていただきたい」と話す。
 公開時間は午前9時~午後3時。拝観料は大人300円、中学生以下100円、乳幼児無料。