小説『安曇野』待望の復刊 安曇野市文書館で販売開始

安曇野市は2日、市出身の小説家で編集者の臼井吉見(1905~87)の歴史小説『安曇野』の文庫版(全5巻、筑摩書房)の復刊を記念し、市堀金総合体育館でお披露目・販売会を開いた。約300人が参加し、明治期から昭和期にかけて活躍した先人たちの物語に思いをはせた。
市の取り組みで復刊が実現した。太田寛市長は「何回読んでも新しい発見がある。少しでも多くの方に読んでほしい」と述べた。太田市長から復刊本の寄贈を受けた臼井吉見文学館友の会の佐々木重昭会長は「前々から復刊を願っていた。実現したのは素晴らしいことだ」と喜んだ。
復刊記念で文芸評論家の斎藤美奈子さん=東京都=が講演。『安曇野』の「ここがスゴイ!」として▽ジェンダー規範から外れた女性が主人公▽多様性と共生の時代を先取り▽個人の幸福と世界の幸福を求める人たちの物語―と説明した。
復刊本は税込み7040円で、2日に同市堀金烏川の市文書館で販売を始めた。1100セットのうち市が500セットを一般販売し、400セットを学校や図書館などに寄贈する。残る200セットは筑摩書房が書店やインターネット通販を通じて販売する。