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戦没者の遺影を電子データ化 筑北村遺族会の坂井支部が戦後80年で

戦没者の遺影のデータ化を進める筑北村遺族会坂井支部の小山支部長

 筑北村遺族会の坂井支部(小山正博支部長)が戦没者の遺影の電子データ化に取り組んでいる。戦後80年を迎え、戦没者を直接知る遺族が極めて少なくなる中、名前だけでなく戦時下を生きた一人一人の人間として記録に残そうと計画した。今月下旬にも計73人分の遺影をデータ化し終える予定で、坂井支部は村とも写真データを共有し、戦争の記録を後世に役立ててもらえればと願っている。

 地元の温泉施設・冠着荘付近にある坂井地区の慰霊碑裏手の祠に保管されていた写真群で、昭和47(1972)年に建立された際に納められたようだ。名刺サイズの小さな写真ばかりだが、多くは写真館で撮影されたとみられ、描写は極めてシャープだ。出征前の軍服姿だけでなくスーツや和装もあり、おしゃれをしたい若者としての姿も感じられる。
 坂井支部は毎年5月に慰霊碑の手入れと献花をしており、併せて写真の虫干しも行ってきたが、長い年月を経て劣化した写真もあり、会員の高齢化に伴い将来的に散逸する恐れもあるため、昨年5月から電子データ化に取り組み始めた。写真の電子スキャニングなどが得意な地元住民の助けを得て高精細な画像データを取得し、名簿とひも付けてきた。
 村は、戦後80年・旧3村合併から20年の節目となる今年、3地区それぞれにある戦没者慰霊碑の一元化を計画している。小山支部長は写真の原本は祠に戻し、保存する方針で「今や"昔話"となりつつある戦争によって大切な人を失った遺族たちの思いを後世へ伝える必要がある。戦没者一人一人の生前の姿の記録を、平和教育にも役立ててほしい」と願う。